クリスマスにアメリカ人とデートした時の話、その2

2020/12/08

漫画

俺の家族になってよ

2人はイルミネーションの中を静かに歩いた。

カルチャーショックをやっとのことで飲み込んだ冬一郎は考えた。

ーーアメリカのクリスマスは、日本のお正月みたいなもの、なのか。しかし、もしそうなら、アメリカ人は当の正月、一月一日の元旦は、一体どうやって過ごすのだろう?

冬一郎が疑問をそのままたずねると、ベンは、

「ニューイヤーかい?うん、むしろニューイヤーの方が、恋人向きのイベントだよ!」と、これまた冬一郎には予想外の答えを返してきた。

「大晦日には、友達や恋人と必ずバーに繰り出してさ、オールナイトするんだよ。あちこちでカウントダウンと花火をやるから、一緒にそれを見たりしてさ。年が変わる瞬間にキスしたりしてーーロマンチックだろ?」

ベンは楽しげに微笑んだが、冬一郎の方は、ふーん、とつまらなく思っただけだった。ロマンチックな気分に浸るのならやはりクリスマスだろう、という観念が拭えなかったのだ。カウントダウンも日本にないわけじゃないが、年越しといえば、カウントダウンや花火より、除夜の鐘と初詣である。ゴーンと低い音を聴きながら、信心深い母親の足代わりに、寺の参道の大行列の中で凍えつつお札を買う順番を待つのが、冬一郎のいつもの年越しである。

ああ、やはり正月など、大嫌いだ。

陰気な防虫剤の匂いの祖父母の家。嫌な親戚連中。おばさんたちは台所で、美味くもないおせちを準備をしながら、自慢話や悪口。おじさんたちは互いに説教し合いながら酒。従兄弟たちには、昔はよくお年玉の金を巻き上げられた。大人になってからは、単に無視し合うだけだ。冬一郎の母親は、冬一郎をやたら従兄弟たちと比べ、正月の間中、延々と叱ったり嘆いたりした。冬一郎が、出来が良く立派でさえあれば、たとえシングルマザーでも、母は親戚から馬鹿にされずに済んだのだ。それなのに、お前がこんな恥ずかしい息子で情けない、母さんが一体、どれだけ苦労して、あんたのことを育ててきたと思っているんだかーー

「僕は正月は嫌いだよ」冬一郎は思わずこぼした。

「噂好きの親戚に囲まれてさ。やることもないから酒ばっか飲んでさ。僕みたいな出来損ないの息子連れて田舎行くの、母さんも恥ずかしいだろうしさ」

「君さ、どうしてそう自己評価が低いんだい?君は出来損ないなんかじゃないよ」

ベンが呆れたような怒ったような声を出したので、冬一郎は、慌てて話をクリスマスにねじ戻した。

「ーークリスマスが、親戚とか、家族と過ごす日だってんならさあ。君はなんで今、ここにいるの?アメリカに帰って、家族と過ごさなくて、よかったのか?」

「んー…」ベンは生返事をしてから、ふいに立ち止まって、

「じゃあさ。今すぐ、君が俺の、家族になってよ」と言った。

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