スウェディッシュミートボールとベッド、その1

2020/12/04

チーズフォンデュクラブストーリー

チーズフォンデュクラブ
 

ミカエルのミートボールはいつもにましてやわらかく作られていたが、冬一郎はうまく飲み込むことができなかった。

好物のなめらかなマッシュポテトさえ胸につかえて、むせてばかりいると、ミカエルがとても心配してくれた。

「どうしたんだ…。本当に体が弱ってるんだな。固形の料理は、ダメなのか。食って栄養とらないとまた倒れちまうぜ、スープか、粥でも作ってやろうか」

冬一郎は元気なく首を振った。ベンは知らん顔してミートボールをムシャムシャ頬張っている。
ミカエルは2人の様子を見比べて困惑し、諦めたようにフォークを置いた。

「ーー喧嘩したのか。俺がちょっと料理の下準備して戻ってくる間に、一体、何があったんだ。頼むから教えてくれ」

「なにね」ベンが冷たい調子で言った。

「冬一郎ちゃんが、今日会った女と、不倫騒ぎを起こそうとしてるのさ」

「するもんか!馬鹿言わないでくれ」冬一郎は即座に遮った。

「僕はそんなつもり全く無いって、何度も言ってるだろ?」

「ふうん、そんなつもりがないんなら」と、ベン。

「なぜ、彼女の電話番号を大事そうに何度も見てるんだよ?」

「それは、だからーー」

冬一郎はため息をつき、手で弄んでいた紙のメモを、テーブルの上に置いた。ミカエルはちらとそちらを見やると、再びフォークを取って食べ始めた。

「ーーやれやれ、馬鹿だな、冬一郎。さっさと破り捨てちまえよ、そんなもの。俺にも連絡先を聞いてきたぜ。あんなホワイトガール、気にするだけ損だぜ」

「ホワイトガール(白人女)?…一体、誰のことです?」

冬一郎は驚いて顔をしかめた。今日会った女性に、白人などいない。ゆずは日本人だし、ナタリアは褐色の肌をしたヒスパニックである。第一、ミカさんが他人の肌の色のことをどうこう言うなんてーー。
ミカエルは眉を上げ、うん、とちょっとだけ咳払いした。

「ああ…言葉が良くなかったな。単に、スタバにたむろしてるミーハーな女、と言う意味だ。人種は特に意味しないぜ」

「ナッちゃんが、ミカちゃんの番号を聞いてきたのかい?」

ベンが訊ねた。ミカエルがうなずくと、ベンは少し面白そうに、

「で、教えたのかい?」

「まさか。興味ないぜ。しかし冬一郎にも声かけてたとは、彼女、手当たり次第だな」

「やめてください。2人とも、ナタリアさんに失礼だよ!」

冬一郎はすっかり気分が悪くなって、頬を赤くして怒った。

「ミカさん。ナタリアさんは、合唱クラブを作りたがってるんですよ。連絡先を聞いたとしたら、クラブに入って、歌ってほしいからです。それ以外の目的なんかないですよ。彼女は既婚なんですし、変な勘違いしないでください」

「ふうん、そうか。そりゃ悪かったぜ」

ミカエルは軽く謝り、食事を続けた。

「だが、そんならお前は、何を困っているんだ?合唱云々で、飯が食えないくらい思い悩むことがあるのか?」

「ナッちゃんじゃないのさ」ベンが答えた。

「ラジャの日本人の妻の方だよ。ゆずという名前だそうだ」

「はん…そりゃたしかに、少し意外だが」

「意外ってだけじゃ、ないんです。ミカさん、これを読んでみてください。ーーベン、君も変にへそ曲げてないで、お願いだからちゃんと読んでくれよ」

冬一郎はすがるような気持ちで、ミカエルの方にメモを差し出した。ミカエルとベンは互いに少し顔を見合わせると、真面目な面持ちになって、頭を寄せてゆずの手書きの文字を見つめ、じっくり時間をかけて、読んだ。

「うん…。日本語だから、俺にはいまいちニュアンスが分からないが」しばらくしてミカエルが考え込むように言った。

「しかしーー『助けて』、と書いてあるな」

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