マッシュポテト応用編、第11弾。
今回はまず料理漫画からお送りします。
あらすじ。
マッシュポテトをめぐってレシピ合戦みたいになってるイギリス人のアリスさんとスウェーデン人のミカさんです。
僕は、アリスさん(現在イギリス)にもらったレシピをもとにシュロップシャーフィジェットパイを作り、ミカさんに見せました。
![]() |
外側はカリッとして、中はクリーミーなポテトがさらにとろけます |
![]() |
ポテトケーキ、ポターティスブッラル |
「随分と手の込んだパイだな」
僕がシュロップシャーフィジェットパイにナイフを入れて中を見せると、ミカさんは少し感心してくれました。
「ベーコンとりんごか。あとは何だ?」
「アップルシードルで煮てるんですよ」僕はつい得意になって自慢しました。「マッシュポテト部分はハニーマスタード味です。サクサクのパイの下にほくほくの甘辛いマッシュポテト、その下にとろりとフルーツの酸味が効いたベーコンフィリング。僕、めっちゃ頑張って作りましたよ!こういう風に思い切り時間と手間をかける料理って、とても贅沢ですよね」
まあ、そうだな、とミカさん。彼はもとからそんなに口数の多くない人ですけど、それにしても少し静かな様子なので、僕はちょっと心配になりました。
「ミカさん、もう、アリスさんとレシピ張り合うのやめましょうよ」僕はおずおずと言いました。「こんな凝ったパイに対抗できるマッシュポテト料理なんて、もう残ってないでしょう?」
「はん」ミカさんは鼻を鳴らすと、立ち上がってエプロンを取りました。「俺をなめてもらっちゃ困るぜ、冬一郎サン」
最後のは、アリスさんが僕の名前を呼ぶ時の口真似でした。心配してあげたのに何だか馬鹿にされて、僕は少しムッとしながら台所についていきました。
ミカさんは冷蔵庫から作り置きのマッシュポテトを取り出すと、手で2、3個団子に丸めました。そして、フライパンにベーコンと一緒に放り込んで焼きました。
「以上だ。Smaklig måltid!(スウェーデン語で召し上がれの意味)」
皿に団子をぽいと移して、ミカさんは僕の方に料理を押しやりました。僕は思わず「えーーーー!」と抗議の声をあげました。
「これで出来上がりですか?フィジェットパイの対抗馬にしちゃ、直球すぎやしませんか、ミカさん!僕、丸一日かけてあのパイ焼いたのに!」
「文句あるなら、食わなくていいんだぜ」
ミカさんは素っ気なく答えました。そんな、ひどいや…。僕は渋々黙って、椅子に腰かけると、焼きたてのマッシュポテト団子(ポテトケーキ)を口に入れました。
ところが、これが、なんとも美味しい…!
まずベーコンの香ばしい塩味がして、外側は焼き目がカリッと歯触りよく、中はクリーミーなマッシュポテトが、ベーコンの油を吸ってさらにとろける感じに仕上がっています。僕は幸せのあまり、んんんんー、とうなってしまいました。
「どうだ?」ミカさんが聞きました。
「美味しいです」僕は涙ぐみました。「こういうシンプルな贅沢もあるんですね、ミカさん」
ミカさんはちょっと満足げに笑ったっきり何にも答えませんでしたが、僕の皿のポテトケーキに、真っ赤なリンゴンベリーソースを添えてくれました。
これがまた、フルーツの酸味がベーコンの塩味を一層引き立てて、さらに美味しかった…!
と、いうわけで、レシピ。↓
ポテトケーキ、ポターティスブッラルのレシピ
1、マッシュポテトを用意する。
2、丸める。
3、フライパンでベーコン(たっぷり)をカリカリに焼き、その油で2のポテトを焼く。
4、リンゴンベリーと、チーズなどを添えて食べる。
☆ベーコンの油はかなりたっぷりにしないとフライパンにひっついて焼きにくいです。マッシュポテトがゆるすぎる場合は、小麦粉を適当量、つなぎに混ぜ込んでください。イモモチの要領です。
リンゴンベリーはこれ↓ 。ミカさんの味にすっかり慣れちゃって、これがないと僕も凹むようになってきました。