スウェーデン風オーブンパンケーキ、ウグンスパンカーカ Oven Pancake, Ugnspannkaka

2021/05/14

スウェーデン料理

パンケーキレシピシリーズ、再び。

このところ(シンコ・デ・マヨのメキシコ料理以外)、ひたすらパンケーキばかり焼いている僕です。なぜかというと、簡単に作れるし子供に食べさせるのも楽だからです。最近、めっちゃ忙しくて…。「子供は大きくなるにつれて手がかからなくなるから大丈夫」ーーなんて、前に児童館の先生に言われたけれど、ほんとうですか、それ?ロンちゃんの行動範囲が広がれば広がるほど、大変度が増して、目が回るように思うんですが。もちろん、仕事がたてこんでるってのもあるけど。

さて今回のパンケーキは、僕じゃなくてミカさんが作ってくれました。

僕が遅く帰った日、焦りまくりながらキッチンにいくと、ミカさんが立っていました。オーブンからは、甘くて優しい匂いがしていました。ああ…こんなに嬉しいことって、ない。僕の気持ちは瞬く間にとろけて、幸せになりました。

「ありがとうございます、ミカさん。すみません、僕、今日も遅くなってしまってーー何を作ってるんですか?」

「パンケーキだ」

「…」

この時、ほんの心の片隅ででも『あれ、またパンケーキ…』と思ってしまった自分を、僕は憎みます。こんの贅沢者め!!自分だって忙しくてパンケーキしか焼けないくせに、ミカさんの作ってるのが同じメニューだからって、文句たれるんじゃない!

「最近、お前のブームだろ」と、ミカさんが言いました。

「え?」僕は聞き返して、思わず苦笑いしました。

「いや、ブームってわけじゃないですよ。ただ、パンケーキならすぐ焼けるし、ロンが喜んで、じょうずに一人で手掴みで食べてくれるから、楽なんです。それでつい」

「そうか」と、ミカさん。それきり、彼は沈黙しました。

静かな時間が訪れました。僕は、目まぐるしかった一日のうちで初めて、ほっと一息ついた気がしました。あたたかい空間。ケーキのにおい。優しくて素敵な人の、隣。ーー心の中では、僕は自分を叱りつけて、『僕は何してるんだ、せっかく夕飯を作らなくていいのだから、その間にロンをお風呂に入れたり、洗濯機回したり、絵本を読んだりしてあげないと!さあ、いますぐキッチンを出て、ロンに見せているテレビを、消しに行くんだ!』と、何度も言い聞かせました。でも、ミカさんの側があまりに心地よくて、僕は動きだせませんでした。甘酸っぱい、素晴らしい香り。何だろう、いちごかな。もうすぐ取り出す頃かな、楽しみだな。彼の手にかかると、僕のオーブンも、まるで魔法がかかったみたいにきれいなケーキを焼くんだーー

「ーーあれ」

僕はふと気づいて、聞きました。

「パンケーキ…なんですよね?なぜ、オーブン使ってるんです?」

「オーブンパンケーキなんだ」と、ミカさん。

「あんまり説明になってないですよ」と、僕。

「うん。フライパンでいちいちひっくり返すのが手間だから、パンケーキの生地をオーブンにぶち込んでいっぺんに焼いちまってるのさ。ウグンスパンカーカ、文字通り、オーブンパンケーキ、というんだ」

実は、日本のホットケーキと違い、スウェーデンのパンケーキは、クレープのようにとても薄いのです。

ミカさんのスウェーデン風パンケーキのレシピ

一回に使用する生地が少ないので、焼く回数がとても多くなり、長時間フライパンにつきっきりにならないとなりません。それをやりたくないならば、いっそオーブンに生地を全部放り込んでケーキのように焼いてしまおう、ということらしいのです。うーん…。上品さから大胆さへの変換が、極端というか、なんというか…。少しミカさんらしくもあるけれど。

豆スープ、一応あるぜ」と、ミカさんが付け加えるように言いました。

僕は、木曜日にはパンケーキと豆スープを食べる、というスウェーデンの変わった食習慣のことを思い出して、笑いました。

「あ。そっか、今日、木曜日でしたっけ?」

「ああ」

ミカさんも僕の方を見て、嬉しそうにニコッとしてくれました。彼の微笑みに、頭が何やらぼうっとなって、僕は、ミカさんがミトンを取ったり鍋敷きを用意したりするのを、手伝いもせずにただただ見ていました。やがてオーブンから神々しく出てきたのは、それはそれは美味しそうに湯気をたてる、イチゴやベリーがたくさん焼き込まれたウグンスパンカーカでした。

スウェーデン風オーブンパンケーキ、ウグンスパンカーカ Oven Pancake, Ugnspannkakaスウェーデン風オーブンパンケーキ、ウグンスパンカーカ Oven Pancake, Ugnspannkaka


オーブンパンケーキ、ウグンスパンカーカのレシピ
Oven Pancake, Ugnspannkaka


材料(パイ皿L人分)

薄力粉 150g
牛乳 300ml
卵 3個
塩 小さじ1/2
砂糖 小さじ1
色んなベリーを潰したもの、または低糖度ジャム 80g
いちご(オプション、デコレーション用)15粒程度
バター 15g
好みのジャム(オプション) 適量
粉砂糖(オプション) 適量
ホイップクリーム(オプション) 適量
メープルシロップ(オプション) 適量

作り方

1
ボールに粉と塩、砂糖をあわせて泡立て器で混ぜ、牛乳と卵を入れて滑らかになるまで混ぜます。低糖度ジャムを混ぜ込みます。
2
溶かしバターをパイ皿に入れて隅までよく広げます。
3
皿に生地を流し入れ、イチゴを並べます。200度に予熱したオーブンで30分焼きます。
4
温かいうちに切り分けていただきます。好みで、ジャムや粉糖、ホイップクリーム、メープルシロップなどをかけてください。

楽天レシピ内のページ

https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1450028785/

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