真夜中のパスタシリーズ、フェットチーネ・アルフレード編の最終回です。
あらすじ:僕は夜中にベンの作った絶品パスタを食べながら彼と喧嘩しています。
前回はこちら
「ちょっと待ってくれよ!! バターに生クリームにチーズって、動物性脂肪高カロリー三大選手を、その量全部使ってるのか?」
ベンがにこっと浮かべた不敵な笑みに、僕は背筋がぞっとしました。
「そうだよ。だからおいしいんじゃあないか」
「悪魔か!」
なんてものを食べさせるんだよ! 僕は頭にきてベンに突っかかりました。
「僕は運動不足でお腹周りが気になってるんだよ!真夜中にこんなもの食べたら健康に悪いに決まってるだろ?殺す気か!」
「悪魔とはひどいな!」ベンも怒って言い返しました。
「せっかく愛情込めて作ったのに!さっき言ったろう?アメリカ料理の基本のき、カロリーは気にしない。大丈夫だよ、俺はたとえ君がスモーレスラー(相撲力士)みたいになっても愛してあげるって!」
冗談じゃあない。君に付き合ってこんな食生活してたら、ほんとうに相撲取りみたいになる。
しかしながら、フェットチーネのモチモチ感と、アルフレードソースの濃厚なクリーミーさがあまりに美味しかったので、もったいない精神も手伝い、結局僕は見事にパスタを平らげてしまいました。アメリカ料理、恐ろしい。
翌朝、ベンはまだ怒っていました。頑張って料理を振る舞ったのに、僕に感謝されるどころか悪魔呼ばわりされたのがとても癪に障ったようです。
自分の言葉が少しキツかったことは認めますが、なんとなく意地を張りたくて、僕は謝りませんでした。