バナナズ・フォスター その4

2021/09/14

チーズフォンデュクラブストーリー

バナナズ・フォスターの続きです。

☆今回アダルトな内容の話が含まれますので大人の方のみお読みください。



これまでの話: 今日がパートナーの誕生日だと急に思い出して慌てた僕は、友人の助言に従い、とりあえずコンビニでバナナを買って家に帰りました。→前話「バナナズ・フォスター3」


 「ただいま…」

僕はドアを開けながら小声で言いました。返事はなく、玄関はシンと静まりかえっていました。

ーー彼は、リビングかな。ああ、ベン、本当にごめん。

僕はとても悲しくなりました。

ーーせっかく年に一度の誕生日の夜なのに、1人でテレビに向かって、黙々とゲームしてるだなんて。祝ってくれる友達なら、本当はたくさんいるってのに。それなのに、僕なんかのことを、待ってたから…。

僕は申し訳なさのあまり、なんとなく息を潜め、音を立てないようにコンビニの袋を床に置きました。果たして、このコンビニバナナで、今からどれだけの埋め合わせが僕にできるんだろうか? これがバナナじゃなくて、大きなケーキとか、手作りの何かとか、もっとずっと素敵なプレゼントだったら、どんなによかっただろう。ナタリアさんに、『ロマンチックさのかけらもないやつ』、と罵られたけれど、本当にそのとおりだ。僕は、ダメなやつだ…。色々と後悔しつつ、僕はつま先立ちで廊下を歩き、手を洗おうと洗面所のドアを開けました。その途端。

「やっと帰ってきたな!!」

ドア陰からベンが急に飛び出てきて、僕は死ぬほどびっくりして大きな悲鳴を上げました。ベンは僕の肩を乱暴に壁に押しつけ、シャツの裾をつかんで引っ張り、ズボンを押し下げようとしました。

「脅かすなよ、何するんだよ、ベン!」

僕が抗議すると、相手は服を脱がすのをやめてくれましたーーが、かわりに、風呂場の方を指で示して、

「シャワーに入ってこいよ」と言いました。「今すぐだ。セックスするんだから!」

見れば、ベンは、下着一丁の、裸でした。あまりにも露骨というか、ストレートすぎるやり方に、僕は呆れてしまいました。

「おいおい…。ずいぶんだな。ロマンチックさのかけらもないのは、君の方じゃあないか」

「ロマンチック?何言ってんだよ」と、ベン。

「そんなもの、なくたってできるだろ。時間がもったいないんだよ。俺はシたいんだ。普段はロンちゃんやミカちゃんがいて、キスさえ自由にできやしないじゃないかーー。今夜は、俺の誕生日にかこつけて、やっと拵えた貴重なチャンスなんだぞ。君ってやつは本当に淡白だから、このままずっとセックスレスでもいいやなんて考えてるのかもしれないが、俺は、絶対に、嫌だからな」

うむを言わさぬ相手の調子に、僕は、ただただ従うほかありませんでした。押しやられるままに浴室に入ってシャワーを浴びて、体の準備をしました。

考えてみると、たしかに、かなり久しぶりのことでした。


続きます


バナナズ・フォスターその1


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