セムラは、美味しくて見た目も可愛い、スウェーデンの伝統的なお菓子です。
ふわふわのパンにアーモンドクリームを詰め、その上に生クリームをたっぷりと絞ります。レント(イースター前の約40日間)の断食に入ろうという直前の火曜日、いわゆる「ファット・テューズデー、Fettisdagen」に食べるのが古い慣わしです。この日にいっぱい脂肪をとって、来る粗食の日々にそなえよう、というわけ(?)らしいのですーーが、しかし、実際にはクリスマス過ぎからイースターまで、みんなパクパクとよく食べてます。まあ、この時期あたりの風物、という感じなんでしょうね。
というわけで、今は全く季節外れの代物ではあるのですが、マリトッツオ関連でセムラの話が出てきたのでご紹介します。
あ、Maritozzo とMaritozziについて触れたので一応言っておくと、Semlaは単数形、Semlorが複数形です。2つ以上食べるときは(もちろん食べますよね☆)Semlorを使いましょう。
で、このセムラのパン生地なんですが、バターたっぷり、砂糖もたっぷり、そして風味付けにカルダモンやオレンジの皮などを使います。それだけ食べてもとっても美味しい、華やかな菓子パンです。例のイタリアはローマの「マリトッツィ」の生地とよく似ていますが、違う点は、仕上げ段階でナイフを縦に入れるのではなく横に入れて蓋として切り取ってしまうことと、中をくり抜いて空洞を作り、そこにアーモンドと生クリームの2種類のクリームを盛ることです。ちょっと手間ですが、おいしさはアップ。くり抜いたパンの中身も、アーモンドペーストの中に練り込んでちゃんと使いますからご心配いりません。そしてもちろん、美味しいコーヒーと一緒にいただきます(スウェーデンの人はコーヒー大好き)!
または、シナモンで風味をつけたホットミルクを、セムラのまわりに回しかけて食べることもあります。hetväggと呼びます。この方が古い(正しい?)食べ方みたいです。パンがぐしょぐしょになるんで好みが分かれるとは思いますが、これはこれでなかなか美味しいです。よかったら試してみてください。
セムラのレシピ Semlor
材料(6〜7個分)
パン生地:
強力粉 250g
カルダモン又はオレンジの皮のすりおろし 小さじ1/2
ドライイースト 小さじ1
砂糖 40g
バター 40g
牛乳 160ml
溶き卵 半個分 (艶出し用)
アーモンドクリーム部:
アーモンドプードル 50g
牛乳 30ml
粉砂糖 50g
生クリーム部:
生クリーム 200ml
粉砂糖 大さじ1
トッピング:
粉砂糖 適量
(hetväggの場合、ホットミルク+シナモン、適量)
作り方
1 ホームベーカリーのある人は、パンの材料を全部入れて、パン生地コースで一次発酵まで済ませます。
2 手捏ねの方は、大きなボールに人肌に温めた牛乳とドライイーストを混ぜ、強力粉を加えてよくこねた後、砂糖、柔らかくしたバター、最後にカルダモン(またはオレンジの皮)を加えます。
3 よくこねた後、きれいにひとまとめにして、濡れ布巾等をかけ、温かい場所で約2倍になるまで一次発酵させます。
4 生地を軽くガス抜きしてから約7〜80gずつに切り分け、きれいな面を伸ばすようにして丸く整え、とじめを下にして置いて並べます。濡れ布巾等をかけ、35度程度で40分、2次発酵させます。
5 艶出し用の溶き卵を塗り、180度に予熱したオーブンで15分程度焼きます。焼けたらラックにとってさまします。
6ボウルにアーモンドプードルと粉砂糖を入れ、牛乳でのばしてペースト状にかき混ぜます。
7冷めたパンの上部を切りとります。パンの中身をくりぬき、抜いた中身は細かくちぎってアーモンドのペーストに混ぜます。
8アーモンドクリームをパンの空洞に詰めます。
9別のきれいなボールに生クリームと粉砂糖を入れてツノが立つまでよく泡立てます。これを絞り袋に入れ、アーモンドクリームの上に絞ります。
10切り取ったパンの上部を戻して蓋にし、最後に粉砂糖をふっておめかしします。
11 出来上がり。好みで温めた牛乳+シナモンをかけていただきます。