何も信じられなくなるくらい混乱の続く世界ですが、1日も早く平和が戻ることを願いつつ、ロシア・ウクライナ両地域で食べられている料理を作ることにします。
以前、パンケーキの話に関連して、前回ロシアやウクライナの朝食用パンケーキ「オラディ」を紹介しましたが、実はこの地域にはもう一つ別の、大変重要なパンケーキがあります。
「ブリヌイ」です(ロシア語。ウクライナ語ではもちろん別の名前になります)。
ブリヌイは、パンケーキというよりクレープに近い、とても薄いパンケーキです。そういえば、スウェーデン風パンケーキも同じように薄い感じでしたね。
小説風に綴ってるミカさんとベンの思い出話の中で、ミカさんが「告解の火曜日(シュローブ・チューズデー)」について触れていたと思います。無宗教の僕は聞いたこともなかったのですが、キリスト教圏の人には大変馴染み深い慣習のようです。キリスト教圏では、キリストが復活したことを祝うイースターの前の約40日間、節制した生活を送る「四旬節」という期間があります。この四旬節が始まる日が「灰の水曜日(Ash Wednesday)」で、「告解の火曜日」はこの前日になります。この日は、来る節制の日々に備えて祝宴をあげる習慣があり、北欧ではセムラを食べ、またイギリスやカナダなど多くの地域ではパンケーキデーとしてパンケーキを大量に食べます。また、この火曜日を最後の日とする1週間は、謝肉祭(カーニバル)の期間となります。
ロシアなど東方教会の地域では、実はこの謝肉祭の一週間が、まるごとパンケーキウィークなのです。バター祭り(マスレニッツァ)と呼ばれるこの一週間、人々はブリヌイを毎日食べて食べて、食べまくります。あんまり食べ過ぎると体に良くないですよ…という注意が流れるくらいの消費量だそうです。
レシピを書きましょう。
ブリヌイBliniのレシピ
材料
薄力粉 140g
砂糖 大さじ1
牛乳 500ml
卵 2個
サラダ油 小さじ1/2
塩 ひとつまみ
作り方
1 材料を全部大きなボールに混ぜて、30分程度寝かします。
2 テフロン加工のフライパンを熱して、一度にお玉半分程度の生地を流し入れ、フライパンを回して丸く整えます。火加減は弱から中火。
3 一分くらい焼いたら、ひっくり返します。フライ返しなどを使うより、指でふちをつまんで、ぺろりと持ち上げてひっくり返す方が簡単です。火傷に注意してね。
4 両面焼けたら皿にとります。全部焼くまで時間がかかるので、上にアルミホイルなどをかぶせて保温しておきます。
5 出来上がり。お好みのトッピングでどうぞ。
ブリヌイは、うまく焼くと、縁がレースのようになってとても綺麗です。
さて、ブリヌイの食べ方ーーつまりトッピングについてですが、もちろんジャムなどを添えて甘味として食べても良いのですが、それよりも、食事の一部(全部?)として、塩味のものを包んで食べる方がメインかもしれません。包む中身となるのは、サワークリームやキャベツの酢漬け、マッシュルーム、それになんといっても、キャビア。
日本語の「イクラ」がロシア語からきている事はよく知られていると思いますが、ロシア語では「イクラ」は魚卵全体を指します。キャビアもイクラの一つですし、イクラももちろんイクラです。で、このキャビア(ロシア語では黒いイクラと呼ぶ)をブリヌイで包んで食べるのですが、これが、ほんと、めっちゃくっちゃ美味しいのです…!!
とはいえ日本ではキャビアは値段がめちゃ高くて手が出ませんから、イクラ(赤いイクラね)を使いましょう。イクラも十分高いけど。