アメリカ料理食育日記@日本

国際育児クラブの子育て漫画と、アメリカをはじめとした世界各国の家庭料理レシピ

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チェスと日本社会とタバスコと3【国際交流×漫画】

前回の続きです。漫画は前回分から載せます。

☆今回、大変危険な行為の描写があります。絶対にマネしないでください。分別のある大人の方のみ閲覧ください。

 

これまでのあらすじ。

いやいや出ている接待の席で、ベンは、チェスの相手をすることになりました。

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ベンが、黒と白のポーンを1つずつ握った両手を差し出すと、ラジャは彼の左手を選んだ。手を広げると、白であった。

「私が先手ですね」ラジャが微笑んだ。

「はい」

うなずきながら、ベンは先ほど長瀬から受けた命令を密かに思い出していた。

「ベン君、いいかね」と、長瀬はベンにこっそり耳打ちした。「時間をかけて、いい勝負をして楽しませるんだよ。そして、最後の最後では、わざと負けるんだ。そして、気分良く帰っていただくんだ。それがオモテナシだ、分かるね?」

わかりました、とベンは承諾した。気分は良くないが、わざと負けるくらい、何ということはない。あまり長く引っ張りたくないだけだ。まあ、すぐ負けるのもしゃくだから、適当に合わせておいてからーー

「待って」

ラジャが手を上げてベンを制した。

「ゲームを始める前に、一つだけ。ただ漫然と勝負したのでは、お互い面白くないでしょ? 私も君も本気を出せるように、最初に罰ゲームを用意しましょう。負けた方は、この私のマイタバスコを…」ラジャはタバスコの小瓶をベンの顔の高さまで持ち上げてみせた。

「目に入れる!目薬のように!どうです?」

例えばピザにかけようと、ホットソースを振った拍子に、誤ってソースがはね、目に入るとどうなるか。痛い、などというものではない。眼球に火が付いて溶け落ちるのかと言うような恐ろしい激痛に襲われ、屈強な男であろうと悲鳴をあげてのたうち回らずにはいられない。軍では、絶対に寝てはならない夜勤の際、兵士達が指にとって、ごく少量を目の周りに塗り、痛みを眠気覚ましにするときく。

ベンは思わず、うっと怯んだ。必ず負けねばならない試合なのに、こんな酷い罰ゲームを設定されてはーー

ラジャは、うろたえるベンの表情を面白く見守った。これで、この青年は必ず全力を出してくるだろう。今夜は楽しめそうだ。

ベンは息をゆっくりと吐いた。こうして内心の狼狽を飲み込むと、涼しい顔に戻り、言った。

「分かりました」

長瀬は感動した。何と素晴らしい自己犠牲の精神であろうか。任されたプロジェクトのためなら、恐ろしい罰さえ甘んじて受けようという、この覚悟。今どきの若者には本当に珍しいことだ。今日、チームのミカエルくんが休んだのは、彼の家庭の事情のバックアップだと聞く。部下からの人望も厚いということか。うむ、外国人ながら、私が見込んだだけのことはある。ベン君、君の痛みと涙は、今後の我が社の成長にしかと刻まれるぞ。

長瀬はベンの横顔を頼もしく眺めた。チェスの試合は、静かに、しかしトントンと実にテンポよく始まった。

そうしてわずか20分後、ベンはあっさり言い放った。

「チェック・メイト」

 

続きます。

 

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 このシリーズの最初↓

www.cheesefondueclub.com

お題「気分転換」

 

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