アメリカ料理食育日記@日本

国際育児クラブの子育て漫画と、アメリカをはじめとした世界各国の家庭料理レシピ

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チェスと日本社会とタバスコと4【国際交流×漫画】

チェスの話の続きです。漫画は前回分から載せます。

☆危険な行為の描写があります。絶対に真似しないでください。分別のある大人の方のみ閲覧ください。

 

あらすじ。

嫌々出ている接待の席で、ベンは、チェスの相手をすることになりました。

 

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「こ、ーーこら!何やってんだ、命令と違うじゃないか!!」

長瀬が言うと、ベンはぷいとそっぽを向いて、「だってタバスコ目に入れたくないですから」と答えた。期待を真っ向から裏切られた長瀬は真っ赤になった。

「会社のためなら何でもしろ!腹切って死ぬんだ!」

「嫌です」

「まあまあ、長瀬さん」

怒りにゆでだこのようになっている日本人を、横から諫めたのはラジャだった。

「ベンジャミン君に何を命令なさったのか知りませんが、まあ、あなたがおっしゃるようなサムライ・スピリットをアメリカ人の彼に押し付けてもらちが明きませんよ。しかし見事だ、完敗です」

顎を撫でながらチェス板をまじまじ眺めて感心するラジャに、長瀬は何度も頭を下げた。

「お許しを。うちの者が生意気な真似をいたしまして。自分は全然お供もしないで、ラジャさんにお酒を沢山勧めたからに決まっていますよ。本当にすみません」

「とんでもない」とラジャ。「私は酔ってなどいません。もちろん、完全に素面の時に、彼にはもう一度手合わせお願いしたいですね。それはさておき、今回は確かに負けたのですから、約束を守りましょう」

ラジャは笑いながらタバスコの蓋を取った。長瀬は大慌てで、

「まさか、いやいや。それはいけません」と止めようとしたが、ラジャは、

「長瀬さん、上官が自分の言葉を簡単に撤回するようでは、兵士は誰もついて来ませんよ」と言うなり、ぱっと上を向いて真っ赤なタバスコを点眼した。

「わあーっ」長瀬は叫んだ。まさか本当にやるとは!どうする。このままでは、私の面目は丸潰れだ。ラジャには、私がベンに八百長を命令したとバレてしまった。ベンに抱いた私の期待は、侍精神のアメリカ人への押し付け、とラジャには映り、酒のお供をしなかったと私がベンを責めたことすら、マイナスに評価されてしまった。このままでは、私は、平気でイカサマをし、部下にのみ犠牲を強要する、信頼できない人間ということになる。とんでもない、私は誠意の塊なのだ。そして、仕事や部下のためならば、それこそ腹を切る覚悟だってある。日本人として名誉を挽回する方法は、ただ1つしかない。私はタバスコなど怖くはないぞ!

長瀬が、「ラジャさん、私もお供いたします!」と叫ぶなり、タバスコを点眼し始めたのをみて、ベンは席を立って逃げ出した。上司の行動は、全く意味不明に思われた。狂気の沙汰だ、と戦慄しながら、ベンは冬一郎に電話をかけた。

「冬一郎ちゃん、俺、会社辞めていい?」

「またかよ、ふざけんな!」

思わぬ冷たい罵声が電話から返ってきて、ベンの背中の汗はさらに凍りついた。

「接待で酒飲むくらい我慢してこい、このアメリカ人!日本じゃ当たり前なんだよ!前のとこだって超優良大手だったのに突然辞めてきやがって!」

「冬一郎ちゃん、話を聞いてくれよ…」

「うっさい!こっちは零細企業でもクビになるまいと必死にしがみついてんだよ!なんのために僕は君を支えて食事まで毎日用意してやってんだ!」

電話がぶつりと切れ、ベンはただ呆然と立ち尽くした。冬一郎の声を聞けばきっと気分が落ち着くと思ったのに、誤解されて悲しいやら腹が立つやら、めちゃくちゃだ。

こうなってはもう、慰めを求められる相手は1人しかいなかった。

「ミカちゃん」

電話に出たミカエルに、ベンはいきなり訴えた。

「俺もう、日本で働きたくないんだ…」

「ベン」

ミカエルは動揺のかけらもない落ち着いた声で、優しく答えた。

「俺は、世界中どこだろうと、お前についてくぜ」

 

 

続きます。

 

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チェスシリーズ最初の話↓

www.cheesefondueclub.com

お題「わたしの仕事場」