アメリカ料理食育日記@日本

国際同性カップルの子育て漫画と、アメリカをはじめとした各国の家庭料理レシピ

スウェディッシュエッグコーヒーの淹れ方3【国際交流×料理漫画】

スウェディッシュエッグコーヒーシリーズ、三回目。

前回分から載せます。

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「俺は信用がないんだなあ、冬一郎…」

ミカさんの言葉を、僕は固く否定しました。

「そんなことないです。ミカさんのことは、信じてますよ」

多分、誰よりも、信じてると思う。神も親も信じない不届き者な僕だけど、この美しくて頭のいい外国人の友達の事は、どこまでも信じてる。

僕の口調がおかしかったのか、ミカさんはふっと挑戦的な表情を浮かべました。

「そうか? …よし、じゃあ、この混ぜたヤツを沸騰した水に入れてみろ」

僕らは鍋に結構な量の湯を沸かし、そこに、殻入りの生卵コーヒーを投入しました。すると、卵がブクブク泡立ち、黒っぽい灰汁みたいな気持ち悪いモコモコしたものに変身して、危うく吹きこぼれそうになりました。僕は思わず、「うえっ…なんか、ますますグロい」と感想をもらしました。ミカさんは火を調節しながら、「そらみろ、やっぱり信じてないじゃあないか」と僕をからかって笑いました。

なんだか悔しかったので、僕は少し黙りました。そのまま3分くらい、奇妙な卵のあぶくを煮ながら、2人で静かに眺めていました。

「殻を入れる理由はあるんですか?」僕が唐突に聞くと、「アルカリだからだぜ」と、とても短い答えが返ってきました。

卵の殻はアルカリ性…。そうか。つまりコーヒーの酸を中和しようとしているんだな。僕がそう言うと、ミカさんはうなずき、

「その通りだ。安いコーヒーってのは、たいてい酸味も苦味も強すぎるものさ。卵はそれを純化するために使ってるんだ。この不味そうに見えるあぶくは、卵のプロテインがコーヒーの雑味と結びついて、疎水効果で表面に上がってきてるのさ。ついでにカフェインも高めてくれるんだぜ」と、今度は少し丁寧に解説してくれました。

彼は鍋を離れて、冷蔵庫から冷えた水を持ってきました。そして、火を止めるなり、冷水をざっと回しかけました。全然予想していない行動だったので、僕は再びビックリしてしまいました。

「ほら、固形物が沈んだだろう?」

ミカさんが言うので見れば、驚いたことに、さっきまで浮いていた気持ち悪い灰汁みたいなのが、すーっと鍋底に沈んでいき、かわりにきれいな茶色のコーヒーが現れました。

ミカさんはこの上澄みをフィルターで濾すと、マグに入れました。そして、出来立てのスウェディッシュエッグコーヒーを、僕に差し出してくれたのでした。

 

続きます。

 

お題「コーヒー」

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