ハーフ、はあふ、ha-a-hu。この和製英語の差別的問題について。

2020/09/29

ハーフの子の育児

不本意ながら、このブログで大変よく使用しなければならないため、「ハーフ」という言葉について一言、断っておきたいと思います。

 国際結婚して子供を育てている方ならみんな直面する問題かと思いますが、「ハーフ」という言葉は、差別的に聞こえる、という問題があります。「ハーフ」と呼ばれる事を嫌う人は多いです(気にしない人もいます)。

ちなみに「ハーフ」は和製英語です。最初ベンと話している時、意味が通じず、コミュニケーションに苦労した思い出があります。英語では「ハーフ」に該当する言葉はなく、強いて言えば「multinational children who have one parent from another country」などと長々しく説明する必要があります。そもそも色々なバックグラウンドの人々が共に暮らすアメリカでは、ハーフという観念はないのでしょうね。日本人、外国人、と明確に区別する日本とは事情が違います。ですから、今では会話の中で便宜的にこの言葉を使う時、ベンは「half」ではなく、日本語であることをわざわざ強調して「ha-a-hu」、はあふ、と発音します。

「ハーフ」という言葉には、色々な問題点があります。発想としては、日本人の血と外国人の血とが半分ずつ、という意味なのでしょうが、この考え方自体が、日本の閉鎖的な風土を物語っているように思えます。そもそも純粋な「日本人」などというものは妄想ですし、全く違う他人と他人のDNAを半分ずつ受け継いで子供が生まれるという意味では誰もがハーフです。DNAは集団差より、個人差の方が大きいのです。ぱっと見、「ハーフ」と呼ばれるのは、アジア人と黒人、白人、など肌の色の違う人の間の子供たちですが、いわゆる人種を決める見た目に関するDNAなんて、DNA全体の膨大な情報量からしたら、ごく些細な事です。

生物学的にではなく、文化的に言うならば、ハーフという言葉はもっと不適切になります。半分ということは、日本人として半人前なのか、という事になるのです。パパかママが外国人だというだけで半人前扱いはひどい話です。

この問題については、文化的に半分しか受け継いでいないのではなく、両方の国の文化を持っているのだから、ダブルと呼ぶべきだ、という主張もあります。しかしながらこのダブルという言葉も、日本語ではダブる、二重になる、留年する、などネガティブな意味合いで使われることが多く、人々の支持を得るまでには至っていません。また、日本のみで生まれ育てば、外国人の親の方の言葉は喋れない、文化も知らない、ということは往々にあります。それなのに「ハーフまたはダブル」なのだから、バイリンガルで当たり前、のように扱われるのは困ったことです。

残念なことに、今のところ「ハーフ」に代わる良い言葉はありません。日常一般的にとてもよく使われる言葉でもあります。ですから、疑問を抱きつつも便宜的に使用せざるを得ないというのが現状だと思います。

いつも少し困るのが、外で子供を連れていて、人から「ハーフですか?」と聞かれた時の答えです。相手に悪意がないことはわかりきっていますが、かといって、無条件にこの言葉を受けることもできないので、返事に窮するのです。僕は「えっと、まあ」とか軽く言葉を濁したり、「母親がアメリカ人です」とか答えるようにしています。

みんなはどうしてるんだろう?

 

おまけ一コマ漫画。

英語の文字は26文字、日本語はざっと46+46+2136文字だ
僕は鬼ですかね

「ハーフ」に生まれるのはきっと楽じゃない。ごめんよ、ロン。


QooQ