家族を個人の名前で呼ぶことについての雑文と漫画

2020/12/15

ハーフの子の育児 漫画

タイトルに反するような結論から言ってしまうと、現在僕の息子のロンは、僕のことをパパ、ベンのことをダディ、と呼んでいます。

僕らの家庭は(今更言うまでもないけど)少々変わってます。

ロンの実の父親は僕です。母親は、僕のパートナー・ベンのお姉さんであるリサさん、つまりベンは、血縁的にはロンの叔父にあたります。

でも僕らの認識上というか、家族としてのポジションとしては、ベンはあくまでロンの父親です。リサさんは母親ではなく、伯母のポジションで、日々の育児の世話全般をほぼ引き受けている僕が、まあ、いわば母親的な役割を担ってます。もちろん僕はママとは誰からも絶対呼ばれないし、ベンは、ロンから叔父さんと呼ばれたらきっと死ぬほど凹むでしょう。リサさんは育児には基本関わらないけど、でも、もしロンがお母さんと呼べる存在が欲しいなら、リサさんをママと呼んで当然だ、と僕らは思ってるしーーうん、ややこしいな。

という訳で、ロンが生まれた時、僕たち家族は一番に話し合い、ロンには僕らのことをファーストネームで呼んでもらおうという事に決めました。

映画「崖の上のポニョ」(かわいいよね!)でそうすけくんが、お母さんのことを「りさ」と名前で呼びますね。あんな感じで、パパとかママといった家族の関係性ではなく、個人の名前で呼ぶのです。子供が親を呼び捨てにする、というのは、特に年配の方等は理解が少なくて、ほとんどの人が首を傾げます。「親を親として尊敬しなくなる」とか「不自然だ」とか。でも、僕は、むしろ子供も親も互いに1人の人間として尊敬しあえるというか、対等な関係を築ける気がして、とてもいいと思うんですよ。

まあそんなわけで僕らは最初、ロンに「パパ」「ママ」という言葉は教えず、ひたすらみんなの名前を使うようにしました。その結果、言葉を喋りはじめたロンは、こんなふうにみんなを呼びました。

ベンは「ベー」

リサさんは「リチャ」

ミカさんは「ミチャチャ」

そんで僕が…

「ウィーウィー」

(wee-wee = アメリカの幼児語で、おち◯ち◯のこと)

 

…。

ぷくくく
めっちゃむかつく

僕らの会話は、基本、英語です。そして僕の名前「冬一郎」は、英語では発音しにくいみたいなので、実はみんなにはあだ名でWinter、ウィンターと呼んでもらっています。響きが格好いいから気に入ってるんだけど、ベンのやつだけはこれを勝手に変更して、Winnie、ウィニーと呼んでくるんですよ(冬一郎ちゃんと訳してます)。そのせいで、ロンが僕のこと、「ウィーウィー(ウィーニー)」って呼びだしたんです。泣。ウィンターなら、きっと「タンター」とか「ター」とかそんなかんじだったに違いないのに!

 

…ところが、保育園に行きだすと、すぐに事情が一変しました。

送り迎えは、ほぼ僕がしてるんだけど、その時先生たちがロンに、僕を指して「パパにいってらっしゃいしようねー!」とか「パパがお迎えに来てくれたわよ!」とか話しかけてくれるんです。すると、しばらくもしないうちに、ロンは僕のことを「ウィーウィー」ではなく「パーパ」と呼びはじめました。

そしたらベンが焼いた、焼いた。

俺もパパって呼ばれたい
仕返しだよ

ーーてな感じで僕ら、かなり揉めまして。ウィーウィー呼びの恨みで、僕が思い切り意地悪なこと言ったものだから、ベンが割とガチにすねちゃいました。勝ち負けなんて言葉は絶対使うべきではなかったですね…僕が悪かったと思います。

そこで妥協策として、ロンの前ではなるべくベンを指して「ダディ(英語でお父さん)」と呼び、パパと区別しながらも同等の扱いをはかることにしました。今ではロンは彼をダディ(時々ベー)と呼んでくれ、ベンは満足な様子。

 

ちなみに、僕はこれがベストとは思っていません。パパって呼ばれるのは、確かに、父親と認められている感じで嬉しいんだけど、でも家族って、固定された役割からもっとフリーになってもいいんじゃないかと僕は思うし。加えて今の僕らの状況は、ミカさんももうほぼ家族の一員でロンの親みたいなものだから、やっぱりどう考えても、全員名前呼び、が僕らには一番フェアでふさわしいのではないかと僕は強く思っています。

でもこれはあくまで僕の考えですから、ロンに強制するつもりはありません。最終的には、ロンの認識通りにというか、彼にとって一番しっくりくる呼び方でみんなを呼んでくれたらいいんだ、と思ってます。

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